
シロアリ駆除で確定申告はできる?必要書類や雑損控除について解説
2026.06.11
シロアリ駆除にかかった費用は、条件を満たせば確定申告で一部が戻ってくる可能性があります。シロアリ被害による駆除費用や修繕費用は「雑損控除(ざっそんこうじょ)」という制度の対象として認められているためです。 ただし、すべての費用が対象になるわけではありません。予防目的の施工や、自分で購入した駆除用品の費用は対象外になるなど、細かな条件があります。また、会社員でも年末調整では手続きできず、自分で確定申告を行う必要があります。 この記事では、シロアリ駆除費用が確定申告の対象になる条件や雑損控除の計算方法、必要書類、申告の流れまで分かりやすく解説します。これからシロアリ駆除を検討している方も、すでに工事を行った方も、ぜひ参考にしてください。
CHECK
この記事を読むと以下のことがわかります。
- シロアリ駆除の雑損控除の条件
- シロアリ駆除で雑損控除の対象になる費用・ならない費用
- シロアリ駆除で確定申告の手続きに必要な書類
結論!シロアリ駆除の費用は確定申告で一部戻ってくる

シロアリ駆除にかかった費用は、確定申告の手続きをすることで支払った税金の一部が戻ってくる可能性があります。シロアリによる被害は、税法上で「雑損控除」の対象になるためです。
特に、シロアリ被害によって駆除工事や修繕工事が必要になったケースでは、支払った費用の一部について控除を受けられる可能性があります。
ただし、すべての費用が対象になるわけではありません。予防目的の工事などは対象外になるため、適用条件を確認することが大切です。
そもそも「雑損控除」とはどんな制度?
雑損控除(ざっそんこうじょ)とは、災害や盗難などによって住宅や家財に被害を受けたときに、税金の負担を軽くできる制度です。
対象となるのは、台風や地震などの自然災害だけではありません。法律上、シロアリによる被害も「害虫などの生物による異常な災害」として定められているため、条件を満たせば雑損控除の対象になります。
例えば、シロアリによって柱や床が傷み、駆除工事や修繕工事が必要になった場合、かかった費用の一部を雑損控除として申告することが可能です。控除が適用されると、所得税が戻ってきたり、翌年の住民税が軽くなったりします。
ただし、雑損控除を受けるためには、自分で確定申告の手続きを行う必要があります。
【注意】会社の年末調整では手続きできない
シロアリ駆除費用の雑損控除を受ける場合、会社の年末調整では手続きできません。年末調整は毎月の給与から引かれた所得税を清算する仕組みですが、雑損控除は対象外となっているためです。
そのため、勤務先に領収書などを提出しても控除は受けられません。普段は会社に税金の手続きを任せている会社員の方でも、自分で税務署やe-Taxを利用して確定申告を行う必要があります。
「自分は会社員だから確定申告は関係ない」と思っていると、税金が戻る機会を逃してしまいます。会社から個別の案内が行われることはないため、申告漏れには注意しましょう。
雑損控除が適用される2つの条件

シロアリ駆除費用が雑損控除の対象になるためには、いくつかの条件があります。特に重要なのが、「誰の家なのか」と「実際に住んでいる家かどうか」です。
ここでは、雑損控除を受けるうえで押さえておきたい2つの条件を解説します。
条件1:自分や家族の持ち家であること
雑損控除の対象になるのは、申告する本人または生計を共にする家族が所有している住宅です。自分名義の家はもちろん、配偶者や親名義の住宅であっても、同じ家計で暮らしていれば対象に含まれます。
ただし、家族名義の住宅で申告する場合は条件があります。対象となるのは、「納税者と生計を同じくしており、年間の総所得金額等が48万円以下の親族」です。
つまり、共に生活していても一定の収入がある配偶者名義の家や、家計が完全に別となっている親族の家は、雑損控除の対象外になってしまうので注意しましょう。
条件2:普段住んでいる家であること
雑損控除の対象になるのは、ご自身や家族が普段から生活している住宅に限られます。この制度は、あくまで「生活に必要な資産」に起きた損害を救済する目的で作られているためです。
したがって、現在住んでいるマイホームでのシロアリ被害は対象になりますが、週末しか使わない別荘や、すでに誰も住んでいない空き家の駆除費用は適用されません。
また、他人に貸し出しているアパートなどの賃貸物件や、事業目的の店舗も生活拠点とはみなされないため、控除の対象外となります。
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雑損控除の対象になる費用・ならない費用

シロアリ駆除にかかった費用でも、すべてが雑損控除の対象になるわけではありません。実際に被害を受けて発生した費用は雑損控除の対象になる一方で、予防目的の工事などは対象外になります。
ここでは、雑損控除の対象になる費用・ならない費用について、詳しく解説します。
対象になる|シロアリの駆除代と家の修理代
雑損控除の対象になるのは、シロアリ被害によって発生した駆除費用や修繕費用です。被害を受けた住宅を元の状態に戻すために必要な費用は、控除対象として認められます。
例えば、以下のような費用は、雑損控除の対象になります。
- シロアリ駆除業者へ支払った施工費用
- 被害を受けた床や柱の修理費用
- シロアリ被害に伴う住宅の補修費用
確定申告では、領収書や見積書などの提出を求められる場合があるため、大切に保管しておきましょう。
対象外|予防費用や自分で駆除した費用
一方で、予防目的の工事費用は、基本的に雑損控除の対象外です。被害への対応ではなく、「被害を防ぐための支出」と判断されるためです。
例えば、以下のような費用は対象外になるケースが一般的です。
- 被害発生前の予防施工
- 定期点検やメンテナンス費用
- 市販の駆除剤や殺虫剤の購入費
- 自分で行ったシロアリ駆除費用
ただし、確定申告の対象外となる工事でも、自治体によっては補助金や助成制度を利用できる場合があります。シロアリ駆除の費用負担を抑えたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
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シロアリ駆除で補助金はもらえる?負担を抑える方法をプロが解説
いくら戻る?雑損控除の計算方法
雑損控除は支払った費用がそのまま返ってくる制度ではありません。所得額や被害額によって控除額は変わるため、人によって戻る金額は異なります。
ここでは、雑損控除の基本的な計算方法と、具体的なシミュレーションを紹介します。
雑損控除の2つの計算式
雑損控除の金額は、2つの計算式をもとに算出されます。それぞれ計算したうえで、金額が大きい方を適用する仕組みです。
保険金などによる補填がない場合、基本的な計算式は以下のとおりです。
【計算式1】(駆除や修繕にかかった費用)-(総所得金額等×10%)
【計算式2】(駆除や修繕にかかった費用)-5万円
税務署の案内では、「差引損失額」や「災害関連支出」などの専門用語が使われていますが、シロアリ被害の場合は、駆除費用や修繕費用を当てはめるとイメージしやすいでしょう。
具体的なシミュレーション
実際に、総所得金額が500万円で、シロアリ駆除と修繕に60万円かかったケースで計算してみましょう。
1つ目の式に当てはめると、「60万円-50万円(500万円の10%)=10万円」となります。
2つ目の式では、「60万円-5万円=55万円」です。
この場合、金額の大きい「55万円」が雑損控除額として適用されます。なお、実際に戻ってくる金額は、この控除額に所得税率を掛けた金額が目安となります。
また、シロアリ駆除の費用は、住宅の広さや被害状況によって大きく変わります。シロアリ駆除の費用相場を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
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シロアリ駆除の費用相場はいくら?一軒家とそれ以外でプロが解説
確定申告の手続きに必要な書類

雑損控除を税務署へ申告するためには、被害の事実や支払った金額を証明する書類をそろえる必要があります。
スムーズに手続きを進められるよう、準備しておくべき書類について確認していきましょう。
シロアリ駆除の領収書・見積書
まず必要になるのが、シロアリ駆除や修繕工事にかかった費用を確認できる領収書や見積書です。
税務署では、「どのような工事に、いくら支払ったのか」を確認するため、工事内容が分かる書類の提出を求められます。
特に、駆除工事と予防工事が一緒になっている場合は注意が必要です。予防費用は雑損控除の対象外となるため、見積書や請求書で費用が分けて記載されていると、申告時にスムーズです。
書類を紛失すると申告が難しくなる場合もあるため、工事後は大切に保管しておきましょう。
源泉徴収票(会社員等の場合)
会社員やパートなど、勤務先から給与を受け取っている方は、勤務先から発行される源泉徴収票も必要です。
源泉徴収票には、1年間の給与収入や、すでに納めている所得税額などが記載されています。確定申告で雑損控除を申請するときに必要になるため、事前の準備が必要です。
通常は年末から1月頃に会社から配布されるため、確定申告までなくさないよう保管しておきましょう。
確定申告書・雑損控除の明細書
雑損控除を受けるためには、確定申告書だけでなく、「雑損控除の明細書」も作成する必要があります。
明細書には、被害を受けた資産の内容や、駆除・修繕にかかった費用、保険金の有無などを記入します。
現在は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxを利用すれば、画面の案内に沿って入力するだけで作成可能です。
被害状況の診断書や写真(推奨)
必須ではありませんが、シロアリ被害の状況が分かる写真や、業者による診断書があると安心です。
例えば、税務署から申告内容について確認を求められたとき、「床下の木材が食害を受けている写真」や、「シロアリ被害の報告書」などがあると、被害状況をスムーズに説明できます。
必ず提出を求められるわけではありませんが、申告内容の確認が必要になった場合に役立つため、できるだけ保存しておくとよいでしょう。
確定申告書の書き方と手続きの流れ
雑損控除を申請する手続きは、1年間の収支が確定した翌年の2月16日から3月15日の間に行います。
基本的な手続きの流れは、以下のとおりです。
- 必要書類を準備する
- 雑損控除の明細書を作成する
- 確定申告書へ控除額を入力する
- 税務署へ提出、またはe-Taxで送信する
まずは、領収書や源泉徴収票などの必要書類をそろえ、「雑損控除の明細書」を作成します。シロアリ駆除や修繕にかかった金額を記入し、控除額を計算しましょう。
次に、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」などを利用して、確定申告書を作成します。画面の案内に沿って入力すれば、還付される金額の目安も自動で計算されます。
書類が完成したら、税務署へ持参するほか、郵送やe-Taxで提出することも可能です。内容に問題がなければ、後日、指定した銀行口座へ還付金が振り込まれます。
いつ申告するの?確定申告の手続き期間
シロアリ駆除費用の雑損控除は、決められた期間内に確定申告を行う必要があります。ただし、「申告期間を過ぎたらもう手続きできない」というわけではありません。
条件によっては、後からさかのぼって申告できるケースもあります。また、被害額が大きい場合には、控除を数年に分けて適用できる制度も用意されています。
ここでは、確定申告の基本的な時期やルールを解説します。
基本は毎年2月16日〜3月15日
確定申告は原則として、シロアリ駆除や修繕費用を支払った翌年の2月16日から3月15日までに行います。
例えば、2026年中にシロアリ駆除を行った場合は、2027年の確定申告期間中に手続きを進める流れです。
この期間内に申告を済ませることで、後日、所得税の還付を受けられる可能性があります。申告期限を過ぎると手続きが複雑になることもあるため、必要書類は早めに準備しておくと安心です。
被害が大きい場合は「3年間」に分けられる
シロアリ被害が大きく、駆除費用や修繕費用が高額になった場合は、その年だけでは控除しきれないことがあります。
そのようなケースでは、「雑損失の繰越控除」という制度を利用することで、控除しきれなかった金額を翌年以降へ繰り越すことが可能です。
最大3年間にわたって控除を受けられるため、高額な工事費用が発生した場合でも、税負担を軽減しやすくなります。
過去5年までなら、さかのぼって申告OK
数年前のシロアリ駆除費用を申告し忘れていた場合でも、過去5年以内であれば、さかのぼって手続きできる可能性があります。
会社員など、本来は確定申告の必要がない方が税金の還付を受ける場合は、「還付申告」という手続きを行います。
一方で、すでに確定申告を済ませている方が、あとから雑損控除を追加で申告する場合は、「更正の請求(こうせいのせいきゅう)」という別の手続きが必要です。
どちらのケースでも、領収書や見積書などの資料が必要になるため、シロアリ駆除後の書類はできるだけ保管しておきましょう。
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まとめ:確定申告を見据えた業者選びを
シロアリ駆除費用は、条件を満たせば雑損控除の対象となり、確定申告によって税金の一部が戻ってくる可能性があります。ただし、申告をスムーズに進めるためには、工事内容や費用の内訳が分かる書類をきちんと残しておくことが大切です。
特に注意したいのが、「駆除費用」と「予防費用」の違いです。予防工事は雑損控除の対象外となるため、見積書や領収書に費用が分けて記載されていないと、申告時に分かりづらくなる場合があります。
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